ウェブデザイナーの年収問題

先日無料説明会に来ていただいた方から「ウェブデザイナーって年収どんなもんですか」と質問いただき、回答した内容をこちらでもまとめておこうと思います。

そもそもどういう仕事か

ウェブデザイナーと言っても、企業で働くのか?個人か?、デザインだけを行うのか?デザイン+コーディングまで出来るのか?などのスキルレベルによって大きく変わります。

それでもそもそも「ウェブデザイナー」ってどういう仕事なのか?は知っておきたいですね。
ウェブデザイナーって資格があるわけでもないので、明確な定義は全然無いです。
デザインだけをやる人、コーディングだけの人、コーディング+プログラム寄りの人などなど様々です。
でもどれが正解とか、どれができなきゃダメってのも無いです。得意不得意あっていいです。

基本的にウェブデザインの仕事は、「クライアントと実際のユーザーをウェブを通じて繋げてあげる通訳」みたいな仕事です。
ある会社が物は良いけどイマイチ売れない商品の販促で悩んでいれば、ベストの方法(デザインだったり、仕組みだったり、購入のプログラムだったり)を提示してあげられる事が最終目標だと思っています。

だからもちろんその提示の前提としての技術や知識、経験は多い方が良いです。
でも基本はデザイン。その次にコーディングは必須と考えていいと思います。じゃないとウェブの話は単純に厳しいだろうし。

その上で年収

ここからは憶測ですが、未経験の当初年収は300万がMAXじゃないかと思います。安
でも2〜3年キャリアを積むと400万前後が目安となります。クライアントや所属する企業としても任せられる範囲がグッと広がるし。
そこからは4かなと思います。いずれもボーナスは考慮してません。ボーナスって自分がいくらがんばっても会社全体の業績と大きく関係するのでなんとも言えません…。

さらに年収アップするなら

5年以降スキルのある人はさらに転職や、独立で年収アップという人も多いです。
と言ってももちろんそれもメリット・デメリット在ると思うけど。だからなかなかどれぐらいまで年収が上がるか?はなかなかはっきりと言えないけど、自分の知っている人(名古屋)では750万前後のデザイナーがいます。この人はかなり出来るレベル。技術が多いというより、むしろ仕事を任せられる人柄と信頼があるって感じ。

いわゆるフリーランスで仕事をするなら、自分ひとりで働くわけですから、労働時間×労働単価という話になります。寝ずにやれば700万800万も行けると思うけど、正直長続きしないと思う。体や脳が死ぬ。
だから自分ひとりでやるなら400〜500万を長く持続するってことを考えたほうが良いように思います。
実際それ以上稼ぐための売上って、一人よりも誰かに手伝ってもらわないと回らない話だから。

まとめ

企業で働くか、フリーランスで働くか。というのは個人的にはどっちでも良いと思う。特に自分は「長く続く」ってことを最優先にしているので、あんまり給料とか考えない人なので。その長く続かせるためには、生徒さんやクライアントに最大限メリットを与え続けることを最優先に考えた時に、自分の法人を設立する方が良いなと思いました。

無料説明会でもよく話しますが、決断はどっちでも良いけど、決断にこそ意味があると思ってます。なーなーにしない、自分の人生だけは自分で決める自分の未来には妥協しない。そういう考えでも良いんじゃないかなと思ってます。全然まとまってないけど。(久保)

物を創ること、生み出すこと


先日滋賀県立美術館で開催されていた「人間の才能 生みだすことと生きること展」を最終日ギリギリに見てきました。
結論から言うと、文句なしに最高で、刺激を受けまくり。
自分らもデザイナーとして「物を創るということ」を日々行っていることが、改めてすごいことなんだなと再認識。この面白さを受講生や今後クリエイティブの世界に触れたいという方に少しでも届くといいなと、この記事を書いてます。

アール・ブリュット?

少し説明をすると、この展覧会は「アール・ブリュット」とか「アウトサイダーアート」と呼ばれる作家の展覧会です。
どういう事かと言うと、何らかの理由で美術教育を受けていなかったり、広く作品が発表されていなかったりする人たちのアートのことです。
「何らかの理由」ってなんやねん、と思うかもしれませんが、例えば自閉症、発達障害などの心の病、身体の障害、その他親からの虐待を受けて世間と隔絶させられたというケースもあります。

で、こうしたいわゆる「美術」の枠から飛び出した、自由な発想や、技術に縛られない手法などを評価しよう!という運動のことをアール・ブリュットと呼んでいたんです。
でもこの展覧会はそもそもそう言う障害なんて取っ払ったところで、普通に作品としてすごいんだぜ!というメッセージの展覧会だったんですよね。(長い前振り終わり

ちょっと作品紹介

古久保憲満

会場入ってすぐに古久保さんの巨大な街の絵。たぶんみんなが想像する10倍以上デカいw とにかく微細な線でひたすらに街の全景が描かれています。
ある種偏執的ではあるんだけど、感じるのは「平穏」とか「心の安定」。子供の頃こういう、細かく描かれた街の絵や、ビルの絵(ビルの壁が透けてて各部屋の人の暮らしが見えるやつ。分かる?)を見たり、そういう「誰かの世界」に入ってくのすごく好きだったことを思い出した。
表現って誰かのためじゃないんだよ!自分のためなんだよ!と思い出させてくれた気がします。

藤岡祐機

個人的に一番大好きだった作品が藤岡さんの一連の作品。
一言で言えば紙にハサミで切り込みを入れた「だけ」。なのになんでこんなに美しいんだろうと本当に感動しました。切っているときのハサミの感触、形が少しづつ変わっていく様、きっと快感だろうな。
それとひたすら真っすぐにこの技法を極めることで、ハサミさばきがより極まってきて、作品や作風もまた変わっていくという、作者の年表のようなものを見れた気がします。

岡﨑莉望

用紙に極細のペンでひたすらに線が重なる作品を作られています。これも本当に実物を見てほしい。ただの線と思って近づくと、線の奥行き(=描画の時間)が異常に深い事に気づきます。実際ひとつの作品を作るのに数ヶ月かかるんだそうです。
制作風景の動画も見れましたが、本当に大切に大切にひとつの線を引かれていました。

これって誰でもできね?

と思う気持ちも分かります。例えば有名なジャクソン・ポロックのグッチャグチャの絵が当時史上最高の値段で落札されたこともあります。なんであんな子供でも描けそうな絵が?と思いますよね。

例えば最後に紹介した岡崎さんの作品には天地があります。一本一本の線にはそこに在る必然性があります。作品としての完成地点が岡崎さんには存在するってことです。
作者によっては絶対完成しない(させない)という方もいます。
つまりいずれにせよ、作者の「意図」があるということです。すごいデカいこと言うと、偶然産まれたものは作品とは呼ばれない(人の心を打たない)し、偶然産まれるなんてことないんですよね。
偶然を産み出すために死ぬほど悩んだり、苦しんだり、今回の展覧会の作者のように延々と没頭したり、その結果が作品だったりするんじゃ無いかと。

だから作品だけを見るというより、作者の人生、意図、経緯、背景、時代そういうものすべてをまとめて一つの作品と呼べるから唯一無二だし、超高値になったりするわけです。

僕らが見ている作品というのはその「意図」が写し取られたものだって考えたら、今まで「は?なにこれ」と思っていた作品の中にも「ぐっ」と来る出会いがあったりするかも知れませんね。

物を創ること、生み出すことを楽しもう!

仕事でデザインに携わっていると、もちろん大変なことも不条理なこともたくさんあります。それでも創ることは楽しいし、もっと言えば僕らは「創る」ことが運命づけられているだとさえ思います。てか信じてます。
どんな些細な表現でも自分の「意図」を形にする。そういう「表現」を僕らは楽しみたいし、少しでも応援できる仕事をさせてもらっているんだなぁと考えさせられた週末でした。

このやたら長い&暑苦しい記事を読んでくれた方が、自分の「表現」てなんだろ?ってちょっと思ってくれたら嬉しいなと思ってます。
この話これでもまだまだ書き足りない!どっかでまた書いてやる!w (久保)

ナディアパーク公式サイト公開しました



https://www.nadyapark.jp/

去年からコンペに参加し準備を進めていたナディアパーク公式ウェブサイトの制作を担当させていただき、この度無事公開となりました!パチパチ
自分がウェブの仕事に携わり始めた2000年頃から(もうちょい後かな?)ナディアパークの公式サイトはずーっとリニューアルされておらず20年の時を経てのリニューアルとなりました。

だからといって最新技術モリモリのサイトって感じではなく、とにかく情報の整理。ナディアパークって単なる商業施設ではないし、会社や、名古屋市の施設や、デザイン関連の企業が沢山入っているちょっと不思議な建物。
長く名古屋に住む人でも全貌を分かっている人はいないんじゃないか?と言うところから、とにかくナディアパークの魅力に一人でも多くの方に気づいてもらうための情報整理を行いました。

スクールでもよく言っていますが、デザインとはソフトが使えることでもないし、かっこいい飾りのことでも無いと思います。どういうメッセージをどうやって込めて誰に届けるのか?それを形にしていく作業。ナディアパークのリニューアルを通じてTribes20のそういう信念が形になったんじゃないかなと思っています。

今回の制作で学んだノウハウなど、じゃんじゃかカリキュラムに盛り込んでおりますので、ぜひお話聞きに来て下さいね。(久保)

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